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胃がんとは

胃がんとは

胃がん画像

人間が食物を食べると、のどから食道を通って胃に入ります。食道は単なる食物の通り道にすぎませんが、胃は胃袋ともいわれ、食物をしばらくの間とどめ、コンクリートミキサー車のように胃液と撹拌(かくはん)し、適量ずつ十二指腸へ送り出します。胃は、食道からの入口部分である噴門部(ふんもんぶ)、胃の中心部分である体部、十二指腸側への出口部分の幽門部(ゆうもんぶ)に大きく分けられます。胃の入口付近の胃体部と呼ばれる部分は胃酸や内因子を分泌し、胃の出口に近い部分は食物を送り出すポンプの役割をしています。出口に近い幽門前庭部は胃液の分泌を調節するガストリンというホルモンを出しています。また、胃の壁は5つの層に分かれており、最内層が胃液や粘液を分泌する粘膜、中心が胃の動きを担当する筋肉、最外層は臓器全体を包む薄い膜で漿膜(しょうまく)と呼ばれています。

胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すがんです。胃がん検診などで見つけられる大きさになるまでには、何年もかかるといわれています。大きくなるに従ってがん細胞は胃の壁の中に入り込み、外側にある漿膜やさらにその外側まで広がり、近くにある大腸や膵臓にも広がっていきます。がんがこのように広がることを浸潤といいます。

がん細胞は、リンパ液や血液の流れに乗って他の場所に移動し、そこで増殖することもあります。これを転移といいます。最も多い胃がんの転移は、「リンパ節転移」で、リンパの関所のような「リンパ節」で増殖します。これは、早期がんでも起こることがあります。また、進行がんの一部では、腹膜や肝臓にも転移がみられます。

特殊な胃がんとして、胃壁の中で広がって粘膜の表面には現れない「スキルス胃がん」があります。診断がついた時点で60%の患者さんに転移がみられます。

胃がんは進行の程度にかかわらず、症状が全くない場合もあります。逆に早い段階から胃痛、胸焼け、黒い便がみられることもあります。これらの症状は胃炎や胃潰瘍などにもみられる症状です。定期的な検診を受けることはもちろん、症状が続くときには早めに受診することが、胃がんの早期発見につながります。

診断や治療の進歩により、胃がんは治りやすいがんの1つといわれています。胃がんの治療は、胃がんの大きさや広がりなどによって細かく決められていますが、進行した状況で発見された場合、治療が難しいこともあります。

胃がんにかかる人の傾向は40歳以降に顕著になります。胃がんにかかる人の数は高齢化のために全体数は横ばいですが、一昔前の同年代の人々と比べると、男女とも大きく減ってきています。がんで亡くなった人の数では、2004年時点で男性は第2位、女性は第1位となっていますが、統計的にみると死亡率は減少してきています。

症状

胃は大きな臓器ですから、がんがかなり進行しても全く症状がない場合も多くみられます。しかし、一方では治療を受けている方の50%が早期胃がんで、そのうち50%は何らかの症状がきっかけで検査を受けています。早期胃がんの多くは病変の中に潰瘍ができるので、そのための痛み、出血、胃部不快感などが検査を受けるきっかけになります。これらの症状は胃潰瘍の症状です。進行したがんの症状は、痛みというより食事が通らない、胃が重い、体重が減る、食物がつかえるといったものです。知らない間に貧血が進み、そのために動悸や息切れが生じて発見されることもあります。

受診のすすめ

胃の検査方法として一般的なものは、「胃X線検査」、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」です。この中で胃がん検診の方法として、“効果がある”と判定されている検査は、「胃X線検査」です。胃がん検診として、「胃内視鏡検査」、「ペプシノゲン検査」、「ヘリコバクターピロリ抗体検査」は“効果不明”と判定されています。

がんのリスク要因・予防要因

喫煙が胃がんのリスクを高めることは、多くのコホート研究でも一致して示され、確立したリスク要因とされています。一方、飲酒については、噴門部がんを除いて、関連があるとする根拠は十分とはいえません。食塩および高塩分食品については、胃がんのリスクを高めるとする疫学研究(えきがくけんきゅう)、またそれを支持する動物実験研究も多く、おそらく確実とされています。また野菜や果物の摂取、特に果物の摂取が、おそらく確実な予防要因とされています。ほかに、ビタミンC、カロテノイド、にんにく、緑茶等について、胃がんの予防要因候補とする研究結果が蓄積されつつありますが、まだはっきりとした結論は出ていません。

多くの疫学研究や動物実験等により、胃粘膜にすみつく細菌として知られるヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter Pylori) の持続感染は、確立した胃がんのリスク要因とされています。この関連は、胃の部位別には非噴門部がんでより強い一方、胃がんの組織型によっては差異がみられないことが、多くの研究の一致した結果です。

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