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子宮がんとは

子宮がんとは(子宮頸がん)

子宮がん

子宮は全体として中空の西洋梨のかたちをしています。球形に近いかたちの体部は胎児の宿る部分であり、下方に続く部分は細長く、その先は膣に突出しています。この部分が頸部で、膣のほうから見ますと奥の突きあたりに頸部の一部が見えます。その中央には子宮の内腔に続く入口があり、この入口を外子宮口と呼んでいます。子宮頸がんは「子宮頚がん」と表記されることもあります。

婦人科のがんで最も一般的な子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がん(子宮内膜がん)があります。

子宮頸がんは、この外子宮口付近に発生することが多いのです。普通の婦人科の診察でこの部分を観察したり、検査すべき細胞や組織を採取することが可能です。したがって、早期発見が容易なわけです。

頸部のがんは非常にゆっくり増殖しますが、がん細胞が子宮頸部に見つかる以前の初期に正常でない細胞が見つかります。この細胞を異型細胞と呼び、細胞診ではこの段階から診断することができるのです。

子宮がんにかかる方は、全体として年間約17,500人で、このうち子宮頸がんが約8,500人、子宮体がんが約8,200人、どの部位か情報がない子宮がんが約800人となっています(全国がん罹患モニタリング集計2005年報告 上皮内がんを除く)。また、子宮がんで亡くなる方は、全体として年間約5,700人、このうち子宮頸がんが約2,500人、子宮体がんが約1,700人、どの部位か情報がない子宮がんが約1500人となっております(人口動態統計2008年)。

年齢別にみた子宮頸がんの罹患(りかん)率は、20歳代後半から40歳前後まで増加した後横ばいになり、70歳代後半以降再び増加します。近年、罹患率、死亡率ともに若年層で増加傾向にあります。罹患率の国際比較では、頸がんが途上国で高いのに対し、体がんは欧米先進国で高い傾向があります。

子宮頸がんの発生には、その多くにヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)の感染が関連しています。子宮頸がん患者さんの90%以上からHPVが検出されることが知られています。最近、一部のHPV感染を予防できるワクチンが使用可能になっています。たとえ、ワクチン接種を受けた場合であっても、定期的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。

症状

初期の子宮頸がんでは、全く症状がないのが普通です。婦人科の症状がなくても、20歳を過ぎたら、2年に1回子宮がんの検診を受けることが勧められています。集団検診の知らせがあったらよい機会ですから、おっくうがらずに受診しましょう。

がんが少し進行するとはじめの症状としては、月経でない時の出血、性行為の際の出血やふだんと違うおりものが増えたりします。他に月経の量が増えたり長引いたりすることもあります。

夫を失った人や高齢の婦人では性行為の際の出血ということは少ないので、頸部がんが相当進行してから後に出血を見ることがよくあります。このような方は、特にふだんの健康診断を受ける必要があります。

しかし、各地の集団検診において高齢の方の受診率が極めて低いため、高齢者の方に進行した頸部がんが今なお多いのが現状です。

診断

細胞診

がん細胞は正常の細胞と異なったかたちや色合いをしています。がんの部分からこすりとった細胞や、がんから落ちてきたものをガラス板に塗り、色素で染めて顕微鏡で見ますと、がん細胞を見つけることができます。この診断法を細胞診と呼んでおり、がんを診断する各種の検査法の中でも非常に重要な方法です。
頸部がんは前にも述べたように外子宮口の付近から発生することが多いので、この部分を綿棒またはヘラのようなものでこすって細胞診を行います。この方法は簡単で痛みもほとんどなく、大勢の人に短い時間で行えますので、集団検診ではこの方法だけを行うことが普通です。ただし、細胞診だけでがんを決定することはしません。なぜなら、がんでなくても、がんと紛らわしい細胞が出ることがあるからです。細胞診に異状があった場合は、次の検査を行います。

がんのリスク要因・予防要因

1)子宮頸がん、外陰がん、膣がん

ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)の感染が、子宮頸がん、特に扁平上皮がんの確立したリスク要因とされています。子宮頸がん患者の90%以上からHPVが検出され、ハイリスク・タイプ(16型や18型など)で浸潤(しんじゅん)がんへの進展がみられやすいことがわかっています。子宮頸がんのリスク要因として、低年齢での初交、性的パートナーが多い、多産、他の性行為感染症が報告されていますが、その多くはHPV感染のリスク要因です。また、喫煙は確立したリスク要因とされています。その他、経口避妊薬の使用、低所得階層との関連性も指摘されています。子宮頸部腺がんについても、扁平上皮がんと同様に、HPV感染や経口避妊薬の使用との関連が指摘されています。
外陰がんは、HPV感染以外では、硬化性苔癬(こうかせいたいせん)が重要なリスク要因とされています。膣がんは、子宮頸がんに連続する病変である場合が多く、HPV関連疾患として、子宮頸がんと共通のリスク要因によると考えられます。
その他、妊婦がディ・エチル・スチル・ベストロール(DES)を使用すると、生まれた子どもの膣がん(明細胞腺がん)のリスクが高くなることが知られています。

2)子宮体がん、絨毛がん

子宮体がんは、エストロゲンによって増殖するタイプと、エストロゲンに関係なく発生するタイプに分けられます。確立したリスク要因としては、閉経年齢が遅い、出産歴がない、肥満、エストロゲン産生がんがリスク要因とされています。薬剤では、乳がんのホルモン療法に用いられるタモキシフェンや、更年期障害等に対するホルモン補充療法などで用いられる、エストロゲン製剤の単独使用等があげられます。
その他のリスク要因として、糖尿病、高血圧、乳がんや大腸がんの家族歴との関連が指摘されています。
また、絨毛(じゅうもう)がんの最大の確立したリスク要因は、胞状奇胎(ほうじょうきたい)です。正常妊娠と比較した場合、全胞状奇胎の絨毛がんリスクは1000倍以上高くなります。

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